建設コンサルタントを資本形態による区分もできます。
資本による区分の種類としては

①オーナー会社
特定の個人が、株式の大部分を保有しているタイプの会社です。
以前は、創業者が株主=経営者といった形であるタイプが多く、経営と所有が一体化していました。今後は、世代交代が進み、所有と経営の分離は進んでいくものと思われます。

オーナー会社の特徴は、強いトップダウンによる迅速な意思決定にあります。
ワンマン経営は批判されますが、実際は優れた経営者であるならば、迅速な経営判断と思い切った行動により大きな成功を収める可能性があります。
現在の建設コンサルタントにも、一代で大きく成長してきた会社もあります。

また、オーナー会社は資金調達の面で、他の資本形態に比べると不利になります。
よって、財務面の健全性には非常に気を使い、自己資本も充実している会社が多いのも特徴です。

②系列会社
財閥系、ゼネコン系、メーカー系などの関連会社となっている建設コンサルタントです。
本来は、ゼネコンやメーカーと資本関係にあるのはよくないことですが、実際には系列会社というのはあります。

系列会社の利点というのは、親会社の信用により、資金調達面で有利であること、情報や技術・人材・資金面などさまざまな支援を親会社から受けられる可能性があることです。

デメリットとしては、会社の主要なポストを、親会社のOB、出向者で占めてしまうことです。
大抵、任期が数年で交代する形となります。
経営陣がサラリーマン化してしまうと、大企業病と言われる状況になり、業種・業界の知識も乏しく、失敗やリスクを恐れるため後手後手に回り経営判断が遅れる傾向が強いです。
また、プロパー社員のモチベーションやモラルも低下していきます。

③上場型
株式市場に上場している会社です。
上場型でも大口の株主がいるケースと、株主が細分化されているケースがあります。

大口株主がいるケースでは、大口株主の経営への影響は大きく、実態は、オーナー会社に近い形になります。

次に、株主が分散している場合は、株主の影響力も分散するため、経営は内部的な組織中心に回り、社長になるのはプロパー、行政出身者、銀行出身者などの場合が多いです。

上場することのメリットは、大きな社会的信用、知名度の向上、資本力、資金調達力の強化などあります。
ただし、上場を維持していくためには、情報公開や財務やガバナンスにおいて上場基準を維持する必要があり、年間数千万のコストがかかります。