その1からの続きです。

私が、新卒から11年勤務した建設コンサルタントは、某重厚長大産業メーカーの100%子会社でした。前記事でも書きましたが、親会社の社員というだけで、子会社で威張る人がいかに多いか、カルチャーショックを受けました。
所属ステータスにこだわる人の心理は実に興味深いです。

子会社ならではの経験で面白い話がまだいくつかありますので、書きたいと思います。

道路の計画業務などを受注すると、業界新聞に載り、それを見たメーカー、ゼネコンの営業マンがたくさんやってきます。
そこに、親会社の30代くらいの営業マンもやってきました。やはり肩で風をきって、ふんぞり返って会社に入ってきますので、一目で親会社の人だとわかります。

そして、私のところにきて、尊大な態度で「○○○(親会社)の××です。今度受注した○○道路計画業務でメタルの橋梁一般図を書くことになっています!」と確定事項のようにいうのです。
大人の態度で適当にあしらって帰ってもらいますが、しばらく経つと、また来て同じ要求をしてくるので、またあしらって帰します。こうしたことを繰り返していたのです。

いつも適当にあしらっていて、いつ切れるかなと思いましたが、なかなか切れませんでした。

ついに、会社の役員(親会社OB)に泣きついて、上層部の命令ということで、一般図を書かせろと言ってきました。しかし、上司は、「△△(親会社OB)が言ってきているが、無視しろ、絶対に出すな」と言ってきました。私も毛頭出すつもりがありませんでしたが、結局そのあとは、何も言ってきませんでした。

しかし、30代の営業社員まで、こんな態度なことに、ずいぶん驚いたものです。
彼も他の会社に営業に行くときはペコペコしていると思うのですが、まさに虎の威を借りる狐です。

その後、私は30代の前半で会社を退職し、その後、その建設コンサルタントも、経営破たんし解散してしまいました。
それから、いろいろ経験を積んで、40歳を前にして、独立して自分で会社を始めました。

独立後に、ひょんなことで親会社OBの人と知り合いになりました。70才くらいで、物腰の低い、気の弱そうなお爺さんという感じの人でしたが、私が「元○○○(子会社)の社員でした」と伝えると、「おぅ!○○○(子会社)にいたのか!」と態度が豹変、顔つきまで違っています。そして、完全に上からの態度で、横柄な口調で話出したのです。
元上司だったらまだわかりますが、まったくの初対面で、私の勤務していた子会社とは関係ありませんし、当然、それ以前の面識はまったくありませんでした。

その方も、もう定年後10年は経つと思いますが、私も子会社にいたのは10年以上昔で、今は存在しない会社ですが、未だに過去のヒエラルキーの中で生きているようです。

若手社員といい、70代のお爺さんといい、人間のステータスへの執着はすごいものがあります。骨の髄まで、選民的な意識が染みついているんだな~と感じます。

ちなみに、その方は、しばらく横柄な口調でしたが、こちらが困惑、苦笑しているのを見て取ったのか、しばらくして、また、元の腰の低いお爺さんに戻りました。

その3に続きます。