建設コンサルタントの人材の特徴は、なんといっても工学部出身者の比率が高いことでしょう。特に土木関連の工学分野出身者が大部分を占めています。

 文系分野の出身者は、営業、経理、総務などに少数居るのみとなります。

 また、いわゆる天下りに近いものとして、行政OB、資本傘下にある企業は親会社のOBや出向者、金融機関OBなども居りますが、これらの人は役員などの経営陣、総務、技術監理などスタッフ部門か営業部門に処遇される場合が多いでしょう。

 このように建設コンサルタントの人材構成を見ると極めて同質性が高くなっています。

 また、年齢構成は、逆ピラミッド構造で高齢化が進んでおり、20代は極端に少なく採用してもすぐに辞めてしまうケースが多く、平均年齢50代を超えているコンサルタント会社も珍しくないでしょう。これから65歳、70歳と定年延長されると、さらに高齢化が進んでいくと思われます。

 会社として行なう人材育成は、ほとんどOJTによるものです。また、技術士取得のための支援や、慣習的にセミナーを行なっている会社がありますが、計画的な人材開発を行なっている企業は少ないといえます。

 新人については、技術部門では教育している余裕はなく、とにかく使いたおす傾向があります。よって、新人の育成については、上につく上司の質と、本人の努力(向上心と自己啓発)によりかなり差がついてくるでしょう。

 業界の高齢化に伴い、経験年数10年以上、30代になっても一番若手で業務の下働きをさせるような事態が生じており、またそれに、危機感を覚えない方も多いようです。

 次に中高年以上の人材開発ですが、技術士取得以後は、他部門や関連資格を狙うか、勉強は終了になってしまいます。中高年以上で総合的な能力開発をされる方は極端に少ないといえるでしょう。

 原因としては、建設コンサルタントでは、かつてバイタリティあふれた人でさえ40代に入ると、激務で心身ともにかなり消耗してしまうこと、企業風土が技術以外の勉強分野に理解を示す環境にないことが挙げられますが、ここからクリエイティブな発想や挑戦は生まれてくるようには思えません。

 他産業を見ると、激しい国際競争に晒されている大手メーカーなどでは、マネジメントと語学の水準が一定以上ないと管理職にはなれないシステムの会社が多く、多くの中高年社員が自己啓発としてMBAや中小企業診断士などのマネジメント勉強を行なっています。

 彼らの労働環境は、建設コンサルタント業界より恵まれたものであることもありますが、心身を消耗させるようなシステムと比較して、人材流出による損失や、長期的に見た社員の経営への貢献度はどちらのシステムが優れているのか考えみる必要がありそうです。

 また、WEBの発展した現在、表向きどれだけ取り繕っても、労働実態に関する情報は、外部へ漏れています。このような状況下で優秀な人材は、どちらの産業に集まるのでしょうか?

こちらの記事も参考にどうぞ。「建設コンサルタントでも進む、働き方の多様化」(弊社別サイトへ移ります)

最新記事

「建設コンサルについて考える」新着記事