建設コンサルタントは、財務構造的には、自己資本比率が高く安全性が高い業界です。
※参考:h20年 建設コンサルタント協会会員企業平均:自己資本比率:自己資本/総資本:54%
流動比率:流動資産/流動負債:185.1% 固定比率:固定負債/自己資産:64.9%
さらに、コスト構造から見ても、コストの大部分が人件費であり、収益に合わせて、人件費カットを行なえば、
つぶれにくいビジネス構造になっています。
財務的な安全性の指標は高いとは言え、売上が一気に減少するような環境の変化において対応が遅れば、
あっという間に債務超過になってしまいます。
実際にこれまでに、経営を破綻した建設コンサルタントを見てみると、
不況や入札制度の変更などによる売上の急減に対して迅速に手が打てなかったケースが多いようです。
安全性が比較的高い反面、建設コンサルタント業は、技術サービスという特性上、
一人当たりの売上が低く、財務的に言うと総資本の回転率が、自己資本比
率も高いの、資本効率は低いと言えます。つまり、少ない資本・人員で大きな金額を動かす
ようなレバレッジが効きにくく、株主視点からは単純に言うと儲けにくいと言えます。
近年の建設コンサルタントの企業買収を見ると、資本に余裕ある同業者(建設コンサル)
が買収しているケースが多いことからして、他産業の企業から見て、
収益的な魅力が少ない、よくわからない業界と言えるかもしれません。
儲けにくい、また、人材を揃えないとビジネスを拡大できないといったデメリットに見える点には、
実は、大規模資本による新規参入がないというメリットもあり、
優秀な若手をしっかり定着させて中堅人材に育てていくこと、収支を均等させることなど、
地道に堅実な経営に注力すれば、長期的に安定した経営を続けやすいと言えます。