PFI(PPP)による海外ODAの新潮流

PFIによるインフラ整備は、成長率の高い発展途上国において非常に有効な手法だと思います。近年のODAの新しいスキームとして、英国やドイツなどの途上国支援では、PPPとかPFIに近いスキームがかなり行われています。

このPFI/PPPスキームを説明する前に、普通の民間事業の仕組みをから説明したいと思います。普通、大きな事業を行う時は、資本金を集めて株式会社を設立し、それを担保にして、さらに銀行からお金を借りて総資本を形成し、設備投資を行い、会社の仕組みを整備し事業を行います。
事業の結果、売上から運営費用や金利を引いたものが利益で、その利益から納税し、残りは、資本を蓄積(内部留保か、借金を返済)したり、再投資(事業拡張)したり、株主に配当します。

PFIは、この民間事業のやり方でインフラを整備する方法です。
では、冒頭の海外でODAによるPFIスキームの概要を説明したいと思います。

例えば、発展途上国で鉄道事業を行うとしましょう。まず、現地に鉄道会社を設立します。これは、株式会社でSPC(特別目的会社)と呼ばれます。

株式会社なので、出資の必要があります。ここにODAとして国際協力銀行のような政府系金融機関が出資します。出資というのは、返済義務はありませんので出資側は出資額分のリスクを負担することになります。つまり最悪は投資金額全額が回収不能になる。しかし、それ以上のリスクはありません。
さらに、劣後ローンの低利貸付をします。劣後ローンとは、破たん時の債権の弁済される権利が他の債権者に劣るということです。つまり、事業破たんしても貸付金が戻ってくる可能性が低いということです。逆に一般債権者は優先弁済権があるのでリスクは減ります。
このようにODAとして、公的金融機関は、出資と劣後貸付という二つの方法で事業リスクを負担します。
一般に、インフラ事業は投資回収期間が長くハイリスクですが、こうして事業リスクが軽減されているので、民間からも資金調達が可能になります。
こうして、総資本を形成し、建設~運営を行い、事業を行い、収益を上げて、株主に配当したり、借入金を返済したりする訳です。

通常、ODAというと無償資金援助、有償資金援助(借款)、技術協力という三つのスキームがありますが、これらの従来方式と比較してPFI方式のメリットは

①レバレッジ効果
事業リスクを公的機関(ODA支援国)がかなり負担するので、ハイリスクなインフラ事業に民間資金調達が可能になります。つまり通常の借款に比べて、民間からの資金調達によりODA支援金額の何倍かの規模の事業が可能になります。経営用語的にはレバレッジ(梃子)が効くと言います。こうした方式は、プロジェクトファイナンスと呼ばれます。
また、実際は、出資金の何割かは被支援国および現地有力者、資本家などを交ぜることで運命共同体化し、リスク共有を図る必要があるようです。

②運営まで永久的にコントロールできるので事業が成功しやすくなります。
借款等の従来型スキームでは運営段階のコントロールができません。相手国のレベルが低いと、せっかく作ったインフラの管理や運営ができず、事故が起こったり、荒廃したりするかもしれません。貸したお金も返済されるか怪しいものです。
法人というのは、永久継続を前提としています。法人が事業を行うということは、建設~運営までの永久継続を前提として一貫した民間企業の能力を活用することができる上に、
出資者は株主として運営主体に対して、経営のコントロールを利かせることができるのです。よって、本来の目的である途上国の発展のために貢献できると共に、出資や劣後融資等のお金を回収できる可能性が高まる訳です。

③政治的な意味
ODAは、本来の支援と、もう一つは外交的な政治的な意味を持ちます。これは、兼ねてから批判されていることですが、他のほとんどの被支援国も同様であり支援には政治的な意味を持っています。
ODAによる出資のスキームは、相手国のインフラ会社のオーナーになる訳ですから、相手国への影響力は大きくなります。
ただし、これが行き過ぎると、過去の欧米による植民地政策のようになってしまう可能性もありえます。
軌道に乗った時点で、株式を相手国に売却するようなルール整備が必要になるかもしれません。

④調達面でのメリット
ODAによるインフラ投資における効果というのは、ストックとフローの二種類があります。ストック効果は、インフラそのものが生む社会利益があります。フロー効果は投資による経済の活性化です。現地で工事をすれば、様々な消費が生まれ景気が良くなります。
よく景気対策で公共投資が行われることからもわかると思います。

その利権について、支援国は自国民の税金が投入されるわけですので、自国企業が行ってほしいと思っています。
しかし、DACと呼ばれる先進国の支援国協定によりODA調達における国際入札が原則化され、日本の円借款などは多くが国際入札になっており、確か日本企業の落札率は30%以下であったと思います。
これがPFIになれば、調達は現地のSPC(民間企業)によるので、調達における規制が受けにくくなると思われます。(詳細不明)
日本の企業連合などは、日本独自の技術を生かしてプロジェクトが行いやすくなるはずです。

今後の展開を期待したいと思います。

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