建設コンサルタント業界は、最大手でも従業員1000人強、売上も300億円くらいであり、純粋な研究開発予算は少ないのが現実です。

本来は、既存事業の収益を、新事業に投資し次の収益源を探し、育成していくことが永久継続を前提とした企業経営の基本です。

(事業ポートフォリオと呼ばれます。)

よって、大手メーカーなどは、新事業や新製品に対して莫大な投資を行っており、相当な人員規模で、研究や開発に専従的従事する部門を持っています。

※某メーカーの新事業企画の研究員に、100%間接経費において企画・研究活動している話を聞いたときには、うらやましい、夢のような仕事だと感じました。

しかし、残念ながら、建設コンサルタントにおいて、こうした仕組みをもった企業はあまり見られません。

まず、技術・工法の研究開発については、独自予算による研究を行なっているケースは少なく、行政からの委託による研究がほとんどになります。
現実に、建設関連特許の出願人を見るとほとんどが、大手のゼネコンやメーカーとなっています。
建設コンサルタントにおいて、独自技術の開発が進まない理由は、資本的に弱く開発など投資的な行動が取れないこと、

また、独自技術を開発しても収益につながりにくくメリットが少ないからです。

なぜなら、発注者である公的機関は、設計仕様が特定工法に依存することは、競合性を下げるので嫌います。

よほどコストや機能面で優れている根拠がないと採用は難しいでしょう。

また、他の建設コンサルは、ライバル企業の工法を採用したがらないでしょうし、独自技術を開発したコンサルタントが、

自社の設計において採用すればお手盛りであり、中立性が疑られることになります。
このような理由により、公共分野を主顧客とする建設コンサルタントが、今後も独自技術開発や投資的活動が盛んになる可能性は少なそうです。