これまで、いろいろ起業した人を見て来ましたが、「僕が世界を変える」、「お金に興味はない、社会貢献する会社を作るんだ」みたいな、壮大な夢を語るのですが、現実は、「具体的な計画や行動なし」、「仕事は前職のつてでどこかの下請け」、「何年かして廃業」 というパターンの人がとても多いのです。

(こちらの記事も参考にしてください。「10年後を見据えようキャリアプランの立て方」)

 個人的な感覚では、有名企業を早期退職したような人がこのパターンが多いですね。
 「ピカピカの経歴」、「プライドと自己評価は満点」で、「自分はマネジメントの専門家だと思っている」ので、経営コンサルタントの言うことも全く聞きません。
 年功序列の終身雇用の大企業を早期定年し肩書が無くなって不安、そこで、起業し肩書は会社社長(自分一人)、「世界を変える」みたいな大義名分と、「金儲けは悪」的発想で、社会貢献を謳う(これで利益ゼロでも言い訳できる)、で具体的な行動はしないできない、みたいな感じです。

 「お記念独立」と呼んでいました。
 どこぞの交流会でも行ってみてください。こんな感じのおじさんが集まって、お互いのサラリーマン時代の経歴や学歴やらの自慢をしています。

 逆に、50~60代で起業や転職をして、バリバリに活躍している人もいます。
 活躍している人は、大体が若い内に自分でリスクをとって挑戦した経験があります。

 こういう人達を多く眺めてきて、日本的「キャリア」とは何なのだろうかと、常々感じて来ました。
 きっと、お記念独立のおじさん達は、いい大学をでて、大企業に入って、若い頃から、会社に忠誠を誓い、上司や先輩のいうことを聞いて頑張ってきたのだと思います。
 結果として、「社内だけで通用する価値」、「外の世界では通用しない人材」、「外の世界に出ても挑戦しない、できない」という感じです。

 このサイトを見ている現役世代の人に言いたいのですが
 上に挙げたような、お記念独立の人は、年功序列の終身雇用の社会で、みごとに逃げ切った超ラッキーな人達なのです。
 退職金に早期退職金を数千万上乗せされたりして、60代前半から年金も受け取れる世代で収入ゼロでも、大丈夫な人達なのです。
 
 現役世代が高齢になる頃は、年金受給開始は70代以降で額もわずか、年功序列の収入増も期待できないでしょう。終身雇用すら当てになりません。
 いつリスクのある世界に、強制的に飛び出ることになるか分かりません。
 こうした場合に、外の世界で通用しないキャリアしかない人は、大変です。
 ましてや、大企業にいた人は、プライドだけは高くなっているので、余計悲惨な状況になるでしょう。

 こうしたキャリアを考える上で外の世界で通用する価値を身に着ける必要があります。
 そこで、どこにキャリア目標を設定するのか、そこが重要になります。

 創業セミナーでよく言われることなのですが、起業して成功するために条件として「やりたいこと」、「やれること」、「やってほしいこと」の三要素が一致していることが重要という話があります。
 
 ビジネスというのは、顧客のニーズ(やってほしいこと)に価値(やれること)を提供して報酬を受け取っています。
 つまり、稼ぐには、顧客の「やってほしいこと」と、自分の「やれること」が一致している必要があります。でもそれが嫌なことだったら不幸でしょう。
 そこで、自分が「やれること」と「やりたいこと」が一致していれば、幸せなはずです。

 よって、「やりたいこと」「やれること」、「やってほしいこと」この三要素が一致するということは、顧客も喜び、自分も稼げるし、ハッピーということで、すべてが上手くいくわけですね。
 ところが、この基本的な要素が一致していないケースが多々あり、先ほどの、お記念独立じゃないですが、やりたいこと「世界を変える」、やれること「俺は世界の○○社の元部長だぞ!」、顧客がやってほしいこと「顧客?何それ?」って感じなわけです。
 
 これは笑い話ではなく、ビジネスに限らず、個人の「キャリア」という点でも全く同一で、中高年の転職においても、こんな感じの人が多くいるのです。

 どれほど、ステータスや資格があっても、顧客のニーズを満たす価値を提供する能力がないと、外の世界では、相手にしてくれません。

 キャリア目標を考える上で、まず、顧客が「やってほしいこと(ニーズ)」があることに、自身の「やりたいこと」と「やれること」を併せていく必要があります。

(こちらの記事もどうぞ。建設コンサルタントの理想的な 最初のキャリアプランの例)

建設コンサルタントのキャリア開発