その1よりの続きです。各部から一名づつ若手代表が毎週集まり、経営改革提案作成を始めました。
また、提案検討において、「個人名を出した問題提起を行わない(個人攻撃禁止)」、「自分の部の利害は考えない」、「提案に基本的にタブーはない(個人攻撃以外)」、「科学的な根拠に基づく提案を行う」などを原則としました。

まずは、各部の代表からヒアリングをしつつ、現状分析し、提案は、問題→原因→対策 というシンプルで科学的なロジックで、まとめることで進めていきました。

現状は、その1で述べた通りめちゃくちゃだったのですが、提案は、大きくは、売上を増やす方法と、無駄、コストを削減する方法に分けて行いました。

提案内容は、営業部に対しては、営業管理面では、市場の研究、地域一人担当をやめる、日報の導入、営業効果の分析、技術者同行による技術営業、名刺配り等誰でもできることはアルバイトで行い、営業は営業にしかできないことを行うなどの、大手建設コンサルでは当たり前の内容だったと思います。

技術部門に対しては、外注費削減、社内内製化を進めるためには、若手の手を空けるしかありません。
若手の手を空けるためには、実務をしない管理職を実務に復帰させることが必要です。
提案としては、間接業務・間接人員の削減、社内内製部門の創設、業務の管理責任者の明確化などの内容を、具体的な方法論まで言及したものでまとめました。

その他は、やってもやらなくても、待遇が同じという状況を改めるために、利益貢献度の数値化と公表、成果給の導入、業務数値粉飾の禁止、事務所の引っ越しなど提案しました。

営業戦略面では、当時国交省プロポが広がり、提案以前に、実績等の配点で大手に勝てない状況のため、プロポで勝負は諦め自治体業務主体にシフトし、価格競争力の強化、小さな業務でも稼げるようにして生き残るような提案だったと思います。

なんとかリストラせずに生き残るための方法を、まとめたものとなりました。

ところが、この提案をまとめている時に、営業部代表の若手が「営業に喧嘩売っているのか!」と怒り出しました。
現状は、営業は、各地域一人担当で、日報もなく、営業報告も何キロ走った程度で、業務のほとんどは名刺配りで、野放し管理であることは、ご本人がヒヤリングで述べたことでもありますが、日報導入等の管理導入提案について激怒し始めました。

そこで私は、最初に決めた原則「自分の部の利害を考えない」、「科学的に根拠のある提案をする」を持ち出して、現状は自分も認めているのに、これは喧嘩ではない、根拠のある発言をするように注意しました。
すると、『「俺はみんなで力を合わせて頑張ろう!」みたいな提案だと思っていた。この提案がされたら、俺は先輩に恨まれてこの会社(営業部に)に居れなくなる』と泣き言を言いだし、どうしても俺は抜けると言って研究会には出席しなくなりました。
しかし、正直予想通りの行動でした。委員メンバーにその営業の若手が入った時点で、絶対にこうなると思っていたので、そのために原則を整備しておいて正解でした。

予想はしていたものの、他部の改革案に対しては、「そうだそうだ!」と賛成し、自分の部に改革になると断固反対する心理、会社が破たんの際にいても、野放しで好き勝手に暮らせる利権は手放せないようです。
営業部の先輩の怒りを想像したら彼が保身に走ったのも仕方がない気がしますが。

この時点で、経営改革提案によって、社内に大きな反発が起こることを予感していました。
しかし、もう債務超過寸前まで来ており、会社が生き残るには、現実的にはそれしかないと考えていました。

その3につづく

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