プロポーザル方式導入以前は、指名競争入札による価格競争が一般的でした。
現在でも小規模業務、自治体の業務では指名競争入札が一般的です。基本的には最低価格の業者が落札する方式です。
建設プロジェクトの総コストの内、調査、計画、設計などのコストは5~10%程度と言われています。また、社会資本は、完成後も半永久的に維持管理、更新を行わなければいけません。
そうした、維持管理費も含めたライフサイクルコスト(LCC)からみれば、調査、計画、設計などのコストの比率は、ほんの数%でしょう。
納税者である国民の立場からすれば、最も効率的な税の執行は、建設プロジェクトのライフサイクルコストを最小化することです。
ちなみに、ライフサイクルコストは、ほとんどが、社会資本構造の仕様決定段階で確定してしまいます。つまり、調査、計画、設計段階で、決まってしまいます。
仮に、ライフサイクルコストの5%を計画・設計費が占めるとして、計画・設計費をがんばって20%削減しても、ライフサイクルコストは1%しか削減できません。
逆に、計画・設計費を削減した分、設計の品質は低下します。十分な検討が行われないままの設計では、ライフサイクルコストは逆に増大するでしょう。
調査・計画・設計をするときに、価格競争のみで建設コンサルタント業者選定することは、結局は社会的な損失を増大する結果になってしまいます。
ちなみに、米国においては、連邦調達規則や州法におけるQBS条項(Quality based selection)により計画・設計などのサービス調達は、価格ではなく品質本位で行うことが義務付けられています。
最も効率的な社会資本整備、ライフサイクルコストの最小化するための、建設コンサルタント選定が、プロポーザル方式の意義と言えるでしょう。
プロポーザル方式とは
- 1.プロポーザル方式とは
- 2.プロポーザル方式の意義
- 3.プロポーザル方式の経緯
- 4.プロポーザル方式の適用
- 5.プロポーザル方式の分類
- 6.プロポーザル方式の手順
- 7.プロポーザル方式の評価項目と配点(選定・指名段階)
- 8.プロポーザル方式の評価項目の内訳(選定・指名段階)
- 9.プロポーザル方式の評価項目と配点(特定段階)
- 10.プロポーザル方式の評価項目の内訳(特定段階)
- 11.プロポーザル方式の提案書の評価者とは
- 12.プロポーザル方式の提案内容(評価内容)の担保方法は
- 13.プロポーザル方式の情報公開