公共建設投資額は、90年代をピークとして、現在は半分に減少しています。

 公共建設投資が半減に対して、建設コンサルタント協会会員の受けた影響を下に整理してみます。

  平成10年 平成19年 減少比率(%)
協会会員企業総受注 1兆218億円 7,298億円 28.5%減
協会会員企業数 459社 464社 1%増
総従業員数 56,023人 46,353人 17.3%減
総技術者数 45,344人 39,540人 12.8%減

出典:建設コンサルタント白書21

※平成10年は、建設コンサルタント協会企業受注額ピークの年

 ここからわかることは、平成10年(受注ピークの年)→平成19年にかけて、減少率を見ると受注額は28.5%の縮小に対して、①会員企業数はむしろ増加、②総従業員数や技術者数は、それほど減少していないことです。

 市場の需要と供給能力(企業数や従事者数)の関係について、需要の変動に対して供給能力(企業数や従事者数)は、数年遅れて追随します。

 これは、「市場の下方硬直性」と呼ばれることもあります。

 実際に、市場の縮小が始まっても、建設コンサルタント従事者は増加し、平成12年に従事者数のピークを迎え(58,095人)、業者数は平成14年の515社をピークとしています。

 現状は、需要<<供給能力であり、供給過剰の状況です。

 人は、すべて制約された範囲の情報で意思決定をしています。

 よって、不況になり、経営が多少悪化した位では、倒産や廃業も少なく、社員も転職することはあまりありません。また、新規参入を図る企業もあります。

 いよいよ不況が本格化し長期化を覚悟する人が増えると、徐々に減少していくことになります。

 総従事者の減少率が、技術者減少率より大きいことは、総務、営業、間接部門がより多く減少したことを意味しますが、バイト・契約社員などが増加したことが主要因と思われます。

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