続いて、建設コンサルタントの内部環境を整理していきます。まずは、建設コンサルタントの商品の特徴を理解しましょう。
ビジネスと言うのは、基本的に何らかの商品を提供し、対価を受け取り成り立ちます。
では、「建設コンサルタントの商品」は、何でしょうか?
建設コンサルタント業務も最後は、報告書や図面など成果品を納品して対価を受け取ります。では、成果品が商品でしょうか?
厳密に言えば違います。
コンサルタントはサービス業です。サービスと言うと、値引きや、接客というイメージを受けますが、サービスの本質的な意味は、顧客ニーズに応えるために、モノではなく、機能を提供することです。
例えば、移動するために、車を買えば、車(モノ)に対価を払いますが、移動のためにタクシーに乗れば、輸送サービス(機能)に対価を払います。
建設コンサルタントサービスで言えば、顧客は、「正しく意思決定を行い、計画や仕様(図面など)を確定すること」に対して対価を払っている訳です。
つまり「最適化の支援」というのがコンサルサービスの本質です。
成果品はサービスの証拠であり、それ自体が商品ではありません。
ここを勘違いして、発注仕様通りの成果品さえ納めて、検査を通過すればよいと考えてしまうと、顧客の本来の目的である「最適化」は達成されず、顧客の満足度は低下するでしょう。
確かに個々の業務利益に着目すると、顧客との接触を最小限にして、発注の特記仕様や共通仕様にピッタリはまる成果を作ってしまえば、検査においても文句のつけようがなく、利益を上げることができるでしょう。
建設コンサルタントの経営において、このようなことを第一方針にしてしまうことは社会的利益に反するでしょう。例えば、このような場合、本来、追加検討を行った方が良い場合でも、作業コストを気にして顧客に何も言わない事態もありえます。(増額変更に消極的な顧客にも非があるのですが)
ただし、利益を上げてこそ従業員に給与を払い、企業が存続できるわけですから、理想論だけでは成り立たないでしょう。
相反する、二つの利益を両立することが、経営の妙と言えます。