90年代50兆円近くあった公共建設投資も、現在は20兆円を割り込むまでに減少しました。将来はどうなるのか、将来の社会資本投資規模の大きな流れについて、ここで考察してみます。

①人口要因

 社会資本は、国民のためにある以上、将来社会資本の必要なストック量は、将来人口による影響は大きいものがあるでしょう。

 日本の人口ですが幕末3000万人、戦後6000万人強、現在は、1億3000万人、65歳以上は22%です。

 次に将来人口ですが

  2030年 11500万人 65歳以上が32%

  2050年には人口9500万人 65歳以上が40%

    出典:国立人口問題研究所 中位予測

 日本も人口減少社会に入りますが、40年後でも1億人に近い人口があります。

 ただし超高齢化社会になりますので、年齢構成がストック需要にどうのような影響を与えるのかは微妙なところです。

 人口要因からみれば、需要は多少が減少するものの、40年後でも現状レベルの社会資本ストックを維持する必要がありそうです。

 また、将来人口を増やすことが、社会資本ストックの需要量を増やす最も本質的な方法と言えると思います。

②経済状況

 社会資本は、経済・社会活動を支えるものですが、経済活動が盛んになれば、需要量も増え、必要なストック量にも影響を与えます。

 実質GDP値(国内総生産GDPから物価変動による影響を排除したもの)の推移を見てくると、1997年500兆、2008年554兆、2010年は少し減って540兆円です。

 90年代の建設投資最盛期より現在の方が実質GDPは多いことがわかります。

 実質GDP値は、増大しているのに、社会資本投資額が半分に縮減するのは異様な感じがしますが、新規投資が減少し、既存ストックの更新投資も行われずに、ストックの老朽化が進んでいる状況が読み取れます。

 今後、経済社会活動を維持するためには、過去のストックの維持更新だけでも相当な投資が必要になることは考察できます。

③投資余力

 社会資本投資は、税金によって行われます。

 税の使用先は、社会福祉や、教育など多岐に渡りますが、将来的に、社会資本投資に回せる部分はどの程度あるのか考察します。

 将来の人口と工高齢化率を見ると、2050年には人口9500万人 65歳以上が40%(出典:国立人口問題研究所 中位予測)となります。

 高齢者比率は現在の約2倍になります。

 技術が進歩すれば、労働者一人当たりの生産性は増えていくでしょうが、労働人口も減少し、社会保障費が増える状況にあるため、建設投資に回せる予算は、かなり制約を受けることは間違いないです。

 また、国と地方の借金1,000兆円という財政状況も気になるところです。

 まとめ

 将来の建設投資規模は、将来人口は40年後で1億人近くあり、社会資本ストックの需要の大減少は起こらないが、投資余力の点で制約が大きいと言えます。

 よって、バブルのような状況はありえないが、ストックを維持、改良するための必要な額は、底堅く投資されると考えることが妥当です。

 将来的な投資規模は、それほど悲観的なものではありません。

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