前項で、建設コンサルタントの将来市場規模は、将来の社会資本投資額の5%程度となると考察しました。

 では、将来の社会資本投資額がどのように決まるのか考えてみましょう。

 社会資本は、国民の安全と生活、経済活動を維持するための基礎的な資本です。

 よって、社会資本投資額は、国民の安全と生活、経済活動を維持するため必要とされる社会資本ストックの量によって決まります。

 社会資本は、少なくとも30~50年は利用されるものですから、必要とされる社会資本のストックの量は、30年~50年先までの、将来人口と年代構成、経済状況、技術革新など、要因により決まってきます。

 また、国土の大きさや災害状況なども影響を与えます。

 この中で、技術革新はイメージしにくいと思いますが、例えば、IT技術の発展により自宅で仕事ができるようになれば、通勤や移動のニーズが減って交通需要が減少すれば、交通インフラに対する投資は少なくなるでしょう。

 逆に、画期的な太陽光発電や電池の発明などによりエネルギー問題が解消し、電気自動車が普及すれば、ドアtoドアの乗り物としての高い利便性からまた、道路交通需要が増えることも考えられます。

 将来必要とされる社会資本ストックの量は、厳密に推定することはできませんが、必要な社会資本ストックに影響を与える要因、国土の大きさ、地形・気候、災害状況、将来人口と年代構成、経済状況、技術革新などの将来状況を考えれば、大きな市場の流れはどのようになるか推測できます。

 ちなみに、長期的な大きな市場の流れは、誰もコントロールできません

 市場増減は大きな歴史の流れのようなものです。政治や行政は、短期的な増減には影響できます。

 日本も明治時代から繊維、鉱山、鉄鋼・造船、機械・電気、ITと花形産業が移ってきましたが、だれも市場をコントロールできるとは思わないですよね。

 また、補正予算による追加投資があると、一息ついてみなさん喜びますが、必要な社会資本ストック量が増える訳ではありませんので、将来の社会資本投資を今に先食いしているだけにすぎないことを考慮すべきです。

建設コンサルタントの将来