人口や経済状況から考えて、インフラ需要が激減することはなく、将来も社会資本投資が底堅く推移する可能性が高いことは、前項までで理解できたと思います。
建設コンサルタントの将来を考える上で、もう一つ考慮しなければならない点が、社会資本投資の中身です。
これまでの社会資本投資では、高速道路、ダムなど新規投資が中心であり、過去数十年の間に膨大なインフラストックを構築してきました。
しかし、右肩上がりの経済成長の時代は終わり、人口減少によるインフラ需要の減少や、財政的制約が増大する状況から、新規投資はかなり抑制されるようになってきました。
一方で、膨大なインフラストックの老朽化が進展している状況です。
よって、今後は、新規投資の比率が減少し、維持更新のための投資が増大していくことは明白でしょう。
社会資本投資額は底堅く推移して言ったとしても、建設コンサルタント既存分野別でみれば、浮き沈みは激しいものとなる可能性があります。
特に、新規の大型プロジェクトを、得意として売上に占める比率の大きいところは、経営環境は厳しくなっていくかもしれません。
このような状況の中、大手ゼネコンでは、大型物件中心の大手ほど将来は苦境に厳しい可能性が高くなる可能性を見越して、新規分野や海外進出など新たな生き残りの模索しています。
建設コンサルタント業界は、どうしても自転車操業で、目先の業務受注だけを考えて活動しがちですが、大きな流れを押さえて活動することが重要です。
建設コンサルタントの将来
- 1.建設コンサルタント業界の将来を見据えること
- 2.建設コンサルタントの将来市場規模はどうやって決まるのか
- 3.社会資本投資規模はどう決まるのか
- 4.将来の社会資本投資規模はどうなるか
- 5.社会資本投資の中身のどのように変化するのか
- 6.建設コンサルタント業務の発注主体の将来
- 7.今後の建設コンサルタントの成長分野は?
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