建設コンサルタント白書21年を見ると、協会所属企業の受注の内訳は、40%が国関連(旧公団、財団、社団等含む)、地方自治体が38%となっています。
今後の発注主体は、どうなっていくのでしょうか考察してみましょう。
社会情勢の大きな流れとして地方分権があります。 国の機能を地方に移譲する流れです。
地方分権の流れの根拠となるものは、「補完性原則」と呼ばれるもので、簡単に言うと、基礎自治体(市町村)、都道府県、国という行政段階があるとすると、「行政活動は、能力的にやれる範囲で、なるべく基礎自治体に近い方が良い」とする考えです。
税の執行という観点で考えると、ニーズに近いところが主体となった方が、意思決定も早くスピーディーかつ効率的に行えるというのが理由です。
例えば、日本の道路行政で言えば、市町村、都道府県、国の出先機関、高速道路それぞれ道路管理者がおり、同一地域に、それぞれが、事務所を構え、維持管理の資機材、人材を抱えている状況です。
地域ごとで、管理主体を統一すれば、機材や人材など資源の重複を解消し効率化できる可能性があります。
海外事例でいうとドイツでは、アウトバーンから州道、基礎自治体の2車線道路など地域の主要な道路は、州が一元的に管理しています。
(生活道路は基礎自治体管理であるが、2車線道路や橋梁など州に管理を委託できる)
日本の場合、現在、国交省管理の国道も県に移管させる意見も多いようですが、個人的な見解としては、県レベルでは詳細すぎます。
広域の長トリップ交通が主体の多車線道路において、わずか1~2時間で管理主体が変わるような事態は、管理の一体性や品質、コストの面で好ましくないように思います。
また、県に利益をもたらさない通過交通に対して管理費用を負担することになり、受益者と費用負担者の一致という観点からも望ましくありません。
効率面で考えると、道州制を導入し、州に移管された地方整備局レベルが主体となって、管理主体を統一するというのがシンプルだと思います。
大切なことは、政治行政の効果と効率面の改善であって、地方分権ではありません。
日本の場合、「地方分権」の言葉とイメージが先行し、実の部分に関する本質的な議論が伴っていないように思います。
話がかなり脱線しましたが、大きな流れとしては、地方分権というものは捉えておいた方がよいでしょう。
ただし、未来の行政体系が、道州制(廃県置州?)なのか、現行の「市、県、国」でいくのか、究極形の「基礎自治体(連合体含む)、国」になるのか、本格的に動くのはかなり先のようです。
(※国政でなく、地方から起こってくる感じですが)
建設コンサルタントの経営としては、どちらに転んでもよいようにすべきです。
少なくとも顧客が一つに集中していることは、経営上のリスクとなるでしょう。
建設コンサルタントの将来
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