私が新卒から10年以上勤務した建設コンサルタントは、建設不況時代に経営破たんし、最終的には、解散しました。
私が退職した時点で既に債務超過でしたが、その後、一度も黒字化することなく赤字を拡大させて、3年後に解散が確定し、その後、完全に解散、消滅しました。

(こちらの記事も参考にどうぞ。「辞表から退職まで半年かかって疲れた話」)

建設コンサルタントは、給与をひたすらカットしていけば、リストラしなくても勝手にみんな辞めていきます。
そうすれば、どこかで収支が均等するので、つぶれにくい構造ですが、当時は、市場の縮小スピードがすさまじく、また、有能な人から、どんどん辞めていくこともあり、もうどうにも打つ手が思いつかない状況だったようです。

最後まで残った人は、能力に自信がない人部下を残して辞められないと考える管理職先鋭的な愛社精神を持つ人の三タイプに分けられるように思います。

面白い話として、会社が生き残る可能性はほぼなくなったその頃でも、まだ、権力争いがあったそうです。会社がつぶれるその最後まで地位や評価に執着する人がいるという点は興味深いです。

解散確定後も残務整理で会社にしばらく残った人は、妙な解放感があったという話を聞きました。

過年度業務の修正や、施工発注図書作成などの行政発注者の無償対応要求で、もう会社が解散し存在しない旨、また技術者もいない旨伝えても納得せず、技術者を呼び戻せと要求する行政の人もいたようです。
発注者には、頭の上がらない建設コンサルタント業界ですが、高圧的に迫ってくる人に対しても、淡々と説明し、無理なものは無理という主張できるのが、快感だったそうです。

私にも退社後数年は、過去設計の問い合わせで、会社から連絡が来ていました。 退社後でもわかる範囲は答えていました。
一度、設計ミスだと騒がれたことがあります。しかし、そこは、他事業者計画との関連で形状が決められず、当時の調査職員と協議し設計範囲から外しており、打ち合わせ簿や報告書(の今後の必要調査等)にも、明記してあり、こちらの不備ではありませんでした。

その旨を、発注者に説明したところ「対応できないってどういうことだ、お前の会社はそういう会社か!」と怒鳴りだしたそうです。
発注者は、必ず、会社全体を標的にして攻撃してきます。そのため建設コンサルタントは理不尽な要求を聞かなければならないこともあります。
しかし、こちらの非もなく、もう解散が決まった会社でもあり、いくら会社を攻撃されてもなんともありません。

その発注者に対応したのは、気の弱いおじさんだったのですが
発注者の「お前の会社はそういう会社か!」の怒声に対して、「そういう会社です ( -`д-´)キリッ」と応えたそうで、横で聞いていた人が思わず噴き出したとのことでした。

最後まで残っていた人々は、解散情報を聞きつけて集まってくる、コンサル各社さんに引き取られましたが、大部分が準大手~中堅クラスに転職できたのは意外でした。
最後まで残っていた甲斐はあったようです。
これぞ、残り物には福がある?

(こちらの記事も参考にどうぞ。「会社への忠誠心って続かないものだと思う(会社を辞めた経緯)

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