超学歴主義者というと、やたらと、「東大出身です」と学歴を自慢するような人が思い浮かびます。
そんな人は、ドラマの世界でしか存在しないと思っていましたが、実際に遭遇したことがあります。その時の思い出を書きたいと思います。

(こちらの記事も参考にどうぞ「人の不幸は密の味?建設コンサルタント業界編」)

私が、新卒で入社した建設コンサルタントは、某大企業の関連子会社でした。
そこに、親会社から総務部長が天下りでやってきました。人事と労務のプロというお話でした。

その人は、初対面の社員と話すとき、まず、相手の出身大学を聞き、その後で「俺は東大だ」というのが定番でした。それがあまりに自然なので、不思議とそんなに嫌味な感じはしなかったですが。

当時、親会社は、都心で工場跡地の大開発プロジェクトをやっていました。今はセレブな地域となっているところです。
ある時、親会社より開発プロジェクトの道路の技術的な相談にのってほしいと、依頼を受けて、私が呼ばれたことがあります。
どうせ、親会社の人に横柄な態度でいろいろ聞かれると思い、こちらも適当な恰好で出かけました。

ところがです。
日頃接する、親会社のOBや営業、技術者は、威張っている人ばかりでしたが、そこは違いました。
綺麗な会議室に通されて、お茶を出されます。
全員が、きっちりスーツ着用でやってきて、名刺を出して挨拶にきます。
全然、偉ぶっている感じがしなくて、洗練されていてカッコいいのです。
適当な恰好で来てしまった自分がはずかしい~。

技術的な説明も一生懸命聞いてくれるのですが、一を聞いて十を知るといった感じで理解力がすばらしく、「世の中、こういう世界もあるんだな。」と感心したものです。

そこは、本社の中で特別プロジェクトチームになっていたので、恐らく、社内中から優秀な人材が集まっていたのだと思います。

そして、説明も終わり、いい気分で会社に戻ったとたん、すぐに会議室に来いと呼び出されました。
会社の会議室に行ってみると、親会社からの天下りOBや出向者が集結しているのです。
そして、本社で誰が出席して、何を相談されたか、今すぐ全部説明しろというのです。
さっきまでの本社の人達とは大違いな、尊大な態度です。

参加者全員の名前なんて覚えていないので、先ほど交換した名刺を取り出して、見せ、相談内容について話しました。

すると、前述の東大出身の部長が名刺を眺めながら、この人は、「○○大学、○○学部卒だから、そんな技術的な話は解るはずがない。」などと一人づつ批評していくのです。
社員の出身大学と学部を記憶しているのには驚きましたが、別に文系出身でも技術的な理解ができても全然おかしくないと思うのですが、出身大学や学部ですべての能力が決まっているような口ぶりでした。
元々、親会社の人事労務部門でそれなりの地位にいた人の言動なので、では、親会社ではそうした学歴主義的な人事が行われているのかと思います。
ちなみに当時勤務していた建設コンサルタントでは、国交省の数百億クラス(総事業費です)の事業の計画、設計もやっていたわけですが、そちらには関心を示したことはありません。

その後、その建設コンサルタントが経営破たんし、辞めて、大手コンサルタントに転職し、国交省所管の研究機関出向等も経験しました。
そこで、国のトップエリートであるキャリアの方々と多く知り合いました。
キャリア等のエリートの人は、みなさん頭脳明晰で、また若い人も年配の方も偉ぶる人はほとんどおりません。
ただ、年配の方が同僚を語るときに、あいつは○○大学卒○年入省の入省試験○位という風に始まるので、学歴社会を感じさせられました。
キャリア官僚や大手コンサルの人で、十分にすごい大学出ているのに、東大出身ではない点がコンプレックスと聞かされたこともあります。頭もキレてすごい人だったのですが、そんな人でもコンプレックスがあることに驚きました。
入社時だけでなく、社会に出た後も、18歳の時の大学入試結果がついて回ることに驚き、三流大卒の私としては、こういう世界にいても、いいことないかな~と思っていました。
仕事はすごく楽しかったのですが。

その後、中小企業診断士という資格を取得し、無謀にも独立したのですが、これで実力だけの世界に来たと思いました。
ところが、診断士には大企業出身の60代の方々が、たくさんいます。
そして、集まれば会社の自慢や、学歴自慢が始まってしまうんですね、私などは、当時40歳直前でしたが、青二才扱いしてくる人も多かったです。
どこまで行っても、学歴社会はあります。

しかし、やはり独立は、結局は、実力だけの世界、自分で考えて行動できる人だけが生き残れます。
こういう過去のステータスにすがる人は、自分で考えて行動することが、あまりにもできない人が多かったです。そのため、単価の安い業務を出してくれる機関に群がっている状態です。グループの組織を作って、序列を作り、お山の対象になって若い人を下につけて、いいように使いたい人が多すぎです。独立したての若手を引き込んでは、すぐに逃げられます。

マズローの「5段階欲求仮説」というものがありますが、人間の欲求段階は、一番上が自己実現欲求、その下が、尊敬(承認)欲求となっております。
尊敬欲求レベルで生きている人は、いろいろなマウンティング行為を取りがちですが、高学歴の人は当然、学歴自慢をするでしょう。よって、エリートでも、尊敬欲求にとどまっている人が多いということかと思います。

有名企業元役員とか、すごい経歴の人で、独立後も稼ぎまくっている人もいますが、こういう人は全然、偉ぶらないです。毒舌ではありますが、本当の意味で毒は感じません。
これらの人は、自己実現要求レベルで生きているので、その必要がないのかもしれません。

地位、ステータスや、他人との優劣にこだわらず、やはり、自己実現欲求レベルで生きたいものです。

こちらの記事もどうぞ「業績の良い人は、楽でおいしい仕事ばかりやっている説